現在製塩(海水から食塩をつくる)プロセスではイオン交換膜法が使われています。この方法ではイオン交換膜を使うことにより、海水中に存在するいろいろな種類のイオン(マグネシウムイオン(Mg2+)や、カルシウムイオン(Ca2+)やマグネシウムイオン(Na+)など)からNa+と塩化物イオン(Cl-)を分離して、食塩を得ます。(このことを選択的に分離する、といいます。)
ここで使われている膜は違う符号のイオン(プラスとマイナス)を分離し、また、違う価数(Mg2+とNa+など)のイオンを分離する膜です。
しかしこの膜では同じ符号で同じ価数のイオン(Na+とK+など)を分離することができません。
そのため、この方法では本来目的であるCl-の他に人体に悪影響を及ぼすとされる臭化物イオン(Br-)も一緒に分離されるという問題が起こってしまいます。
そこで我々は同じ符号を持って、さらに同じ価数の分離が出来る膜を開発しようという研究を行っています。
この膜が開発されれば、食塩をもっと効率よく作れるほかに、人体に悪影響があり分離困難とされてきた硝酸イオンの分離も可能となります。